シャベール大佐 さんの感想・評価
4.0
荒唐無稽な部分をどう捉えるのか
無免許の天才医師・ブラックジャックの若かりし頃を描いた作品。まだブラックジャックと呼ばれる以前の、医学生・間黒男が主人公。手塚治虫の超有名作品を原作として別の漫画家が描いた作品のアニメ化ということらしいです。
なかなか面白かったです。
時代設定は1960年代で、学生運動やベトナム戦争、アメリカの人種差別撤廃運動など、当時の社会問題と密接に関わった、深刻で重たい背景の上に、天才的な手術技術を持つ主人公の様々な医療ドラマが展開されます。その中には素人目で見ても、それは絶対ありえないだろ、というような荒唐無稽な部分もあったりして、最初に観始めたときはそういった部分にやや戸惑いましたが、この作品は「リアルさ」を求める作品ではなく、命、平和、差別といった大きな重たいテーマを子供にでもわかりやすく考えて貰えるようにするための、ある種のお伽話やファンタジーである、というような感覚で捉えたほうがいいのかなと考えを切り替えて楽しみました。逆に、そこの割り切りができないと、ただの子供騙しの馬鹿馬鹿しい作品と感じてしまうかもしれません。
キャラデザは元の手塚デザインよりも現代的で綺麗な雰囲気に変えられていて、作品全体の空気もネットの評判などではホモ臭いなどと一部で批判されていたようですが、個人的には特に気になりませんでした。
元の手塚作品にどれくらい思い入れがあるかでも評価は変わりそうですが、あまり過度な期待をしなければ悪くない作品だったように思います。